November 11, 2009

『絵ニ入ル』

『絵ニ入ル』
2009年11月11日〜12月20日
山口県立美術館

先週設営に行ってきた『絵ニ入ル』が、本日から始まりました。
数年来、美術館の協力を得ながら、取り組んでいる拡大高精細映像による文化財の映像演出です。

美術館で扱われる映像は、未だに、TVや映画などのように、椅子に座って、見ることだけに集中する鑑賞方法を基準につくられています。しかし、この共同研究では、美術館のように歩いて見回る場所を考慮し、視覚、身体、主観的な体感速度を丹念に検証することを重視しながら、実物鑑賞の貴重さとは別に、文化財の魅力を伝える展示を考えています。

今回制作した映像は雪舟の名作2点。
雪舟等楊 筆 ≪四季山水図巻≫ 毛利博物館所蔵 国宝 
雪舟等楊 筆 ≪倣高克恭山水図巻≫ 山口県立美術館所蔵 重要文化財

ちょうど、実物作品が、それぞれ毛利博物館(〜11/30まで公開)と山口県立美術館(〜11/29まで公開)で公開されているのに合わせて、実施しています。

気長にやっているプロジェクトなので、贅沢にも現地での投影テストを何度もやりました。その上で制作し直し、学芸の方と空間のイメージを丁寧に具体化していったので、シンプルだけど丹念な空間になりました。それにしても、学芸の方が、自館の「展示空間を知っている」ということは大切です。最終的な空間のつくりを、今回ほぼ全てお任せしましたけれど、展示室の性質も浮かび上がる、ピシャリと嵌る気持ちのよさに感動。。。。。

お近くにいらっしゃる機会があれば、ぜひ。映像は12/20までやっていますが、実物と両方見たい方は、11月中に、どうぞお越し下さい!




雪舟等楊 筆 ≪倣高克恭山水図巻≫の場面

投稿者 raumraum : 10:10 PM | コメント (0)

March 31, 2008

museum folkwang, essen

museum: museum folkwang


museum folkwangは、ドイツの美術シーンにおいて歴史的な意味をもつ美術館だ。ドイツの20世紀アヴァンギャルド芸術・建築にとって、重要なパトロン、コレクターであったカール・エルンスト・オストハウス(Karl Ernst Osthaus, 1874-1921)に由来するからだ。

1902年、オストハウスはハーゲン市に自然史資料、歴史的美術工芸、現代美術(セザンヌ、ゴッホ、マチスなどのモダンアート)という3つの分野の資料や作品を公開するmuseum folkwang, hagenを設立した。このミュージアムは、ドイツではじめてモダンアート・コレクションを公開するものであった。ちなみに室内建築は、アンリ・ヴァン・デ・ヴェルデ(henry van de velde, 1863-1957)に依頼している。オストハウスは、このミュージアムを設立することによって、ルール工業地帯に芸術文化生活を担う拠点をつくろうとしたのである。産業革命以降20世紀の芸術文化の保護発展に貢献してきたのはインダストリーであり、これは歴史的重要な意味をもつ。

オストハウスの死後、モダンアート・コレクションについては、1922年に近隣都市エッセン市に設立されたmuseum folkwang, essenに引き継がれた。戦中重要なコレクションが失われたりもしたが、戦後の関係者による懸命な努力もあり、その後19世紀美術、モダンアートのほか、戦後の現代美術、写真等の作品を収蔵し、現代にいたるまで重要な展覧会を多く開催してきた。


左:museum folkwang 右:公開中の展覧会ポスター

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museum folkwangを訪れるのは、おそらく十数年ぶりぐらいである。あまり記憶にないのだが、たぶんjosef arbersの展覧会を見たのではないかと思う。(bottropのarbers美術館とはしごしたんだったか?!)ただ、こじんまりした建物の中でゆっくりと良質の展覧会を見たという記憶がある。

今回は、「geiger, vasaerly, bill - farbe zu fläche zu raum」展を見るために訪れた。展覧会に関することは、別にまとめて報告するとして、今後への期待をこめて現状を書き留めておきたい。

前述のように大変由緒ある美術館であるが、現状はあまりにみすぼらしい。建物の老朽化が進んでおり、訪れた際には半分が閉鎖され、上記の展覧会と小さな現代美術の展覧会が公開されていた。雨漏りなのか床にはバケツがおかれていて水が落ちている。特に気になったのが、監視員の質がとてもひどくなっていること。大声でしゃべっていたり、ヘッドフォンから聞いている音楽が聞こえたりしている始末。

展覧会のキューレーションの状態もあまり良くはないらしいと聞いた。ちょっとそんな状況を聞くと残念だ。

ただし現在、新しい建物の建設が進んでいる。2010年の欧州文化首都(kulturhauptstadt in EU: 毎年欧州の1市ないし複数の都市が、欧州文化首都に選出される。エッセン市は、ノルトライン・フェストファーレン州ルール地帯を代表として、2010年の欧州文化首都に決まった。)に向けて工事が進められている。ハーゲン市のkarl ernst osthaus museumも現在、改築を進めているようで、この周辺地域一帯の芸術文化事業が2010年に合わせて進行中だ。

なお2006年国際コンペの結果、このfolkwangの新しい建物の設計は、デイヴィッド・チッパーフィールド(David Chipperfield, england, 1953- )

投稿者 raumraum : 04:10 AM | コメント (0)

March 30, 2008

MARTa museum, herford

museum: MARTa museum, herford
architekt: frank gehry
künstlerischer direktor:jan hoet

MARTa museumは、2005年herford市にオープンした美術館。アート、デザイン、建築とアンビエント(周辺の環境)をテーマに建てられた。もともとherford市が、20世紀初頭より家具や衣類工業の中心だったことも関係している。経済効果をねらうところもおおきいようだ。実際に来ている来館者は、多分大半別の町からのようだった。

建築はフランク・ゲーリー、ミュージアム・ディレクターはヤン・フート。随分とハデな組み合わせである。
フランク・ゲーリーは、いわずもがな、ビルバオ・グッゲンハイム美術館でしられる建築家。ここでも、ドイツの田舎町に帯のような曲線を描くキバツな建築を建てている。

ヤン・フートは、1986年にあの「シャンブル・ダミ」を企画したディレクター(当時ゲント現代美術館館長)。ゲント市内の70軒以上の一般家庭を開放してもらい、アーティストがそこで作品を展開するというとてもセンセーショナルなものだった。彼自身、この企画で一躍世界的なミュージアム・ディレクターとなった。日本でもたしか当時石川鶴来町でも同じようなプロジェクトをやったはず。その後1992年「ドクメンタ9」のキューレターを務めている。


herford駅から徒歩2〜3分。すごい田舎町に突如現れる変わった道とMARta museum。でも、HPで見た写真の印象よりもこじんまりとした建物だった。



正面玄関、展覧会のバナー。



外観のキバツさとは裏腹に、館内の空間は結構きれいだった。各展示室の天井には明り窓があって、自然光が入ってくる。
曲線を描く白い壁。展示をするのにどうなんだろう。。。と思ったが、ちょうどマックス・ビルの美しい色彩のグラフィックが列ぶと、色が波打つようで魅力的だった。




美術館の裏には川が流れており、カフェ・テラスはちょうど川に面している。




再び、MARTa前の通り。なんでしょうこの球体は。。。

投稿者 raumraum : 02:32 PM | コメント (0)

September 11, 2005

島根県立美術館 / shimane kunst museum / shimane art museum

曲線を描くガラス越しに宍道湖が広がり、美しい夕焼けのみられる場所で、閉館時間が日没時というユニークな美術館です。
設計は、川崎市民ミュージアム東京都江戸東京博物館を手掛けた菊竹清訓建築設計事務所

とても良いレストランが併設されています。眺めもよく、とても美味しいお食事やデザートがいただけます。他にもゆっくりお食事とおしゃべりを楽しまれた後、美術館の中を回られている方々をおみかけしました。
それにしても、ヨーロッパやアメリカの美術館を訪れると、街中に素敵なレストランやカフェを併設したミュージアムがあります。訪れる人は、必ずしもミュージアムに入場するためだけではなく、居心地の良いひとときを過ごすためだけにミュージアム・レストランやカフェを訪れたりします。ミュージアムは、そのついでであってもいいわけです。そういった日々の自然な営みにミュージアムがある。。。という考え方は、なかなか日本では難しいのでしょうか。日本にも素敵なレストランを併設しているミュージアムはありますが、展覧会を見にいかない限り気軽に立ち寄れない場所がほとんどのような気がします。

das gebogende glassfassade liegt nach dem shinjjiko-see gegenüber. hier ist der berühmte ort für das wunderschöne abendrot. der museumsschluss ist abhängig vom sonnenuntergang.
die museumsarchitektur ist vom 'kikutake architects' geplant, das wohl bekannt mit dem plan für das kawasaki stadt museum und das edo tokyo museum ist.

ein schönes restaurant drinn. gutes essen und guten nachtisch mit der schönen aussicht. es gab besucher, die nach dem lang genossenen essen und der unterhaltung erst die ausstellung geschaut haben, als ich dort besucht habe.
in europa und den staten findet man oft in der innenstadt die schöne museumsrestaurants und cafés. die leute gehen ins museum, nicht nur die ausstellung zu besuchen, sondern auch im restaurant und café die angenehme zeit zu geniessen. es ist ok, sogar nebenbei die ausstellung zu schauen. die museen befinden sich im alltag......solche gedankweise ist noch nicht leicht akzeptabel in japan?!! es gibt in japan auch die gute museumsrestauraunts und -cafés. aber sie liegen meistens nicht ganz in der stadtmitte. daher kann man nicht ohne zweck des ausstellungsbesuchs beiläufig ins museumsrestauraunt oder -café vorbeigehen.

the curved glass fassade faces the shinjiko-lake. it's a famous spot for the wonderful sunset. the closing hour of the museum depends on the time of sunset.
the architecture is designed by 'kikutake architects', which is well-known for the plan of the kawasaki city museum and the edo tokyo museum.

2005/09/09
島根県立美術館 内美術館レストランの窓越しと2階に上がる階段から撮影した美術館ファサード。
fotografiert über das fenster des museumsrestaurants und von der treppe des innenraums des shimane kunst museums.
shooted through the window of the museum's restaurant and from the stair of inside the shimane art museum.

投稿者 raumraum : 02:26 AM | コメント (0)