« MARTa museum, herford | メイン | ツォルフェライン / zollverein »

March 31, 2008

museum folkwang, essen

museum: museum folkwang


museum folkwangは、ドイツの美術シーンにおいて歴史的な意味をもつ美術館だ。ドイツの20世紀アヴァンギャルド芸術・建築にとって、重要なパトロン、コレクターであったカール・エルンスト・オストハウス(Karl Ernst Osthaus, 1874-1921)に由来するからだ。

1902年、オストハウスはハーゲン市に自然史資料、歴史的美術工芸、現代美術(セザンヌ、ゴッホ、マチスなどのモダンアート)という3つの分野の資料や作品を公開するmuseum folkwang, hagenを設立した。このミュージアムは、ドイツではじめてモダンアート・コレクションを公開するものであった。ちなみに室内建築は、アンリ・ヴァン・デ・ヴェルデ(henry van de velde, 1863-1957)に依頼している。オストハウスは、このミュージアムを設立することによって、ルール工業地帯に芸術文化生活を担う拠点をつくろうとしたのである。産業革命以降20世紀の芸術文化の保護発展に貢献してきたのはインダストリーであり、これは歴史的重要な意味をもつ。

オストハウスの死後、モダンアート・コレクションについては、1922年に近隣都市エッセン市に設立されたmuseum folkwang, essenに引き継がれた。戦中重要なコレクションが失われたりもしたが、戦後の関係者による懸命な努力もあり、その後19世紀美術、モダンアートのほか、戦後の現代美術、写真等の作品を収蔵し、現代にいたるまで重要な展覧会を多く開催してきた。


左:museum folkwang 右:公開中の展覧会ポスター

------

museum folkwangを訪れるのは、おそらく十数年ぶりぐらいである。あまり記憶にないのだが、たぶんjosef arbersの展覧会を見たのではないかと思う。(bottropのarbers美術館とはしごしたんだったか?!)ただ、こじんまりした建物の中でゆっくりと良質の展覧会を見たという記憶がある。

今回は、「geiger, vasaerly, bill - farbe zu fläche zu raum」展を見るために訪れた。展覧会に関することは、別にまとめて報告するとして、今後への期待をこめて現状を書き留めておきたい。

前述のように大変由緒ある美術館であるが、現状はあまりにみすぼらしい。建物の老朽化が進んでおり、訪れた際には半分が閉鎖され、上記の展覧会と小さな現代美術の展覧会が公開されていた。雨漏りなのか床にはバケツがおかれていて水が落ちている。特に気になったのが、監視員の質がとてもひどくなっていること。大声でしゃべっていたり、ヘッドフォンから聞いている音楽が聞こえたりしている始末。

展覧会のキューレーションの状態もあまり良くはないらしいと聞いた。ちょっとそんな状況を聞くと残念だ。

ただし現在、新しい建物の建設が進んでいる。2010年の欧州文化首都(kulturhauptstadt in EU: 毎年欧州の1市ないし複数の都市が、欧州文化首都に選出される。エッセン市は、ノルトライン・フェストファーレン州ルール地帯を代表として、2010年の欧州文化首都に決まった。)に向けて工事が進められている。ハーゲン市のkarl ernst osthaus museumも現在、改築を進めているようで、この周辺地域一帯の芸術文化事業が2010年に合わせて進行中だ。

なお2006年国際コンペの結果、このfolkwangの新しい建物の設計は、デイヴィッド・チッパーフィールド(David Chipperfield, england, 1953- )

投稿者 raumraum : March 31, 2008 04:10 AM

コメント