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February 20, 2009

ケルン ・ネオナチ撃退  / Köln gegen Nazis!

昨日ちょうど来日されているケルン・インターナショナル・スクール・オブ・デザインのミヒャエル・エルホフ先生とウタ・ブランデス先生より、痛快な話を伺った。

エルホフ先生は「私は、ケルンという街を愛してやまない。私がケルンを愛さずにはいられないわけといえば」と、話され始めた。

昨年9月、ケルン市議会の極右会派「親ケルン」(ネオナチ)の呼びかけによって、オーストリア、イタリア、フランスといった周辺国から各極右党員を集める、1500人規模の集会を予告された。ここ数年ケルンでは、市の西部に巨大なモスクの建設計画があり論議されている。 それを契機として、「反イスラム化国際会議」と称した集会を企てたのである。

エルホフ先生の話によれば、その企てに、ケルンは市民全体がユーモアをもって、立ち向かったというのである。先生のお話や地元新聞のネットから当時の様子をまとめたものが次の通りだ:

クナイペ(居酒屋)を中心とした120余りの飲食店では、「Kein Kölsch Für Nazis !(ナチスにやるケルシュはない)」[Kölsch とは、ケルンの地ビール]という文言の印刷された20万枚コースターがおかれ、Köln Kneipenkultur gegen Rechts(右派に対抗するケルン・クナイペ・カルチャー)という一つのキャンペーン運動が展開された。

クナイペには、ライヴスペースや劇場なども併設されていたりすることが多々あり、アーティストや文化人達もクナイペや屋外でさまざまな催し物を開催し、そこにも「ナチに聴かせる音楽はない」といった同様の文言を掲げた。宿泊施設にもタクシーにも同じような掲示、ポスターなどが貼られ宿泊乗車を完全拒否した。

KEIN KÖLSCH FÜR NAZIS
In den letzten Wochen haben sich Kölner Gastronomen und Kulturschaffende zusammengeschlossen, um den Protest dagegen nicht nur den üblichen politischen Gruppen zu überlassen, sondern ihn mit möglichst vielen Menschen aus dem kulturellen Leben Kölns zu unterstützen.

Stand der Dinge:
Wir haben das Motto „Kein Kölsch für Nazis“ gewählt und Plakate sowie Bierdeckel drucken lassen. An der Aktion beteiligen sich mittlerweile über 127 Kneipen, über 90 Künstler, Bands und Labels. Mittlerweile hängen über tausend Plakate in Gaststätten und an Litfasssäulen. 200 000 Bierdeckel liegen in den Gastronomiebetrieben aus.

ナチスにやるケルシュはない:
この数週間来、ケルンの飲食店や文化に携わる人々は、従来のような政治的団体に任せるのではなく、ケルンの文化的生活(kulturelles Leben Kölns)から、できる限り多くの人々が支援できるような方法で、これ(極右集会)に抗議しようと決断した。

「ナチスにやるケルシュはない」というモットーのもとビールのコースターとポスターを印刷し、いまや127店以上のクナイペと90人以上のアーティスト、バンド、レーベルがこのアクションに参加している。その間に、飲食店や街中の広告板には1000枚以上のポスターが貼られ、飲食店には20万枚のビール・コースターが配られた。
Köln Kneipenkultur gegen Rechts(右派に対抗するケルン・クナイペ・カルチャー)より

また、WDRをはじめとするテレビ局、ラジオ局、地元新聞と連携し、キャンペーンは街全体に広がった。(*WDR:ケルンにある西ドイツ放送局。ケルンには全国ネット主要テレビ局が集まっている。)

政治の現場においても、直接衝突するのではなく、他の政党などが会議に使われそうなあらゆる場所を先取りで使ってしまい、集会が行われそうな場所を全て埋めてしまった。ありとあらゆる会場から閉め出された極右勢力は、しかたなくライン川の船を借りたが、船長が川の真ん中で、「エンジンが止まってしました」と言って、船を止めてそれ以上動けないようにしてしまったという。

この集会に対抗するさまざまな他の政党や市民約4万人からなる大規模のデモが旧市街のホイマルクトに集結。極めつけは、ケルンに伝わる聖ウルズラと11000人の乙女(処女)たちの伝説にまつわるアクションである。中世、聖ウルズラは11000人の乙女を同行させ、巡礼の途中に立ち寄ったケルンで、そこを占拠しようとしていたフン族と衝突した。この話にかけて、極右集会に対抗して、11000人のベリーダンサーが踊りまくったのだという。

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前述の居酒屋などが、政治的なできごとに関わるということは、政治や宗教といったさまざまな立場から自由であろうとする場所として、従来ならばありえない。しかし、ドイツの背負う負の歴史に対しては、人々の人権や文化を奪うような行為には、再度の過ちを犯すことを、自ら許さない。入る隙を与えない。一昨年の大聖堂に設置されたリヒターのステンドグラスへの大司教の失言(「退廃芸術」と称した。)に対してもそうであった。ケルンという街は、とにかく活動都市である。政治は生活のすぐ隣にあり、文化も全ては自分たちの日常の街の中で湧き上がってくる。

参照したウェブサイトは下記の通り:

flickr上に投稿されている当時の画像

Köln Kneipenkultur gegen Rechts(右派に対抗するケルン・クナイペ・カルチャー)

netz-gegen-nazis.de(ナチスに対抗するネット.DE)

Köln Stadt-Anzeiger(ケルン・シュタッド=アンツァイガー紙)

tagesspiegel(ターゲス・シュピーゲル)

投稿者 raumraum : 08:25 PM | コメント (0)