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November 27, 2006

Philippe Decouflé, "SOLO"

Philippe Decouflé(フィリップ・デュクフレ)の「SOLO」を天王洲アイル銀河劇場で見てきました。ここ数年何回も来日していますが、公演を見たのは久しぶり。

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Philippe Decoufléは、1992年のアルベールビルオリンピックのとき、弱冠31歳、新進気鋭の演出家・振付家として開閉会式を手掛け一躍有名になった人。かわいいユーモアのあるコスチュームを着たパフォーマーたち、最後に聖火に点火する天使。ああいうのをセンスの良いということなのだと思ったものです。それからオリンピックの開閉会式は見なければならないものだと、思い込んでいるのですが、以後毎回裏切られっぱなし。

さて、ここ何年かPhilippe Decoufléは何度も来日していますし、幾つかの大学でシンポジウムだったり、ワークショップだったりも実施されて、すっかり日本でもおなじみの演出家になりました。2000年世田谷パブリックシアターで上演された「トリトン」にもみられるように、サーカスの曲芸的な面白さやユーモラスなキャラクターのパフォーマンスは、エンターテイメントとしての舞台を良く計算し尽くしています。だからといって、宙を舞うパフォーマンスが、ただアクロバット的なものというのではなく、夢の中へのいざないとでもいうような、とてもポエティックなもの。。。

。。。これが、彼の舞台への大半の印象ではないでしょうか。それが、今回公開された「Solo」は、「一人で舞台を構成する」ためには何ができるのか、あらためて色々ためしてみた舞台。2003年から改訂を繰り返し再演しているもので、完結したものというより、彼の創作の様々なエッセンスの断片を、ひとつひとつ実験し直してみたという感じ。例えば、ビデオのフィードバックによる映像のディレイ(delay)をフルにつかった演出。アナログビデオの頃、そういうのをみたけれど、最近あまり見なくなりました。そういったビデオのプリミティブな仕組みを活用しながら、像を投影することを丹念にやりなおしている姿勢。映像が何なのか、舞台の空間とは何なのか?柱や壁がなくても舞台空間の構造を幾らでも変換させていくことを、よ〜く知り尽くした上で、40歳半ばを過ぎたクリエイターが、観客の前で丁寧にそういったクリエイティブな試みを披露することには、大変前向きな共感を覚えました。

公演日程:2006年11月25日(土)〜30日(木)
会場:天王洲アイル銀河劇場(旧アートスフィア)

投稿者 raumraum : November 27, 2006 01:24 AM

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