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January 25, 2008
竹内順一先生の最終講義
1月24日に元東京芸術大学大学美術館館長、竹内順一先生(現芸術学科教授)の最終講義が行われた。当日は、東京芸術大学美術学部の「第一講義室」に立ち見が出るほどの人々が集まられた。在校生、卒業生、先生方、美術館博物館関係者、先生をお慕い申し上げている本当に多方面からの方々がこられていた。
講義には、膨大な量の文献一覧および先生の著作目録が聴講者全員に配られた。特定のご研究について語られるということではなく、この配布資料をもとに、美術館での実践と大学での「博物館学」などの授業を通して、ご自身が体系化されてきた理論と広い視座を「Museography」という概念で展開された。
個々の事柄について詳細を語るということはされなかったけれど、いまもなお美術館の現場に身を置かれ、博学でご経験豊かな先生のお人柄を表す講義で、なによりもその配布資料は、行動し、学び、研究し、さまざまな見方で未来に展望をもつことの楽しさを、あらためてお教えくださったように思う。
講義後のパーティーで先生の教え子でいらっしゃる某博物館学芸員の方が、ユーモアあふれるスピーチの中で、「恨み言ばかり申し上げるようですが、一度美術館で先生の部下として働きたかった」とおっしゃった。その場に集った元同僚達と、思わず顔を見合わせた。
おもえば大学美術館にいた頃、ご多忙な先生は、ひょいと研究室に顔を出されて一言なにかおっしゃって、またお忙しいそうにでていかれる。あるいは、たまに収蔵庫におりていらっしゃり、ものの扱いをお教えくださったりした。その頃は、普通の日常の一コマであったけれども、実は芸大を離れ今になってハッと思い出されることが多い。おそらくなにげない日常会話の中で投げかけてくださってきたことは、人が働く上で必要とする基本的で大切なものごとへの対応の仕方や所作であったように思う。
ちなみに、今回の先生のお言葉:
美術館学芸員に必要な三つの「お」
おひとよし、おっちょこちょい、おせっかい
でもこれ、学芸員にだけあてはまる言葉ではないだろう
投稿者 raumraum : January 25, 2008 02:53 AM