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December 30, 2006
真実のマレーネ・ディートリッヒ / Marlene Dietrich Her Own Song
デヴィット・ライヴァ監督の「真実のマレーネ・ディートリッヒ」( Marlene Dietrich - Her Own Song, directed by David Riva, 2001)をみました。
マレーネ・ディートリッヒの実孫にあたるライヴァによるドキュメンタリー映画で、ディートリッヒの実娘マリア・ライヴァをはじめ、音楽家バート・バカラック、歌手ローズマリー・クルーニーなど、生前ディートリッヒと交流のあった人々のインタビューを交えながら、彼女の生涯を追っています。
マレーネ・ディートリッヒはベルリン生まれの生粋のドイツ人で、祖国への誇りと愛情をもちながら、ナチス下の祖国ドイツを離れ、ナチスの「プロパガンダ」映画に出ることも断固として拒絶します。女優、歌手(メッセンジャー)として、自分が活動することによる社会的な影響力ということを、大変自覚していた人です。あえてアメリカ軍兵士の慰問にヨーロッパ各地を巡り、反ナチ運動にも参加したり、アメリカの「プロパガンダ」であることを知りつつも、祖国の人たちに語りかけるラジオ放送を行ったりします。また戦後、映画「ニュールンベルグ裁判」の中で法律家を演じた際に(ドイツ人としてナチス支配下で)「何を知り得たというの?」という台詞を、不本意ながらも監督の説得(彼女がこの台詞をしゃべることによって、ドイツ国民に対する免罪となりうる)によって受入れたり、イスラエルでのコンサートにおいて、「ドイツ語で歌を歌っても良いでしょうか?」と観客に問いかけ、彼女の戦時中の反ナチ活動を充分に知っていた観客に共感を持って受入れたり、といったエピソードは感慨深いものがあります。
同じベルリン生まれの女優であり、『オリンピア』の監督で知られるレニ・リーフェンシュタールの半生を描いたドキュメンタリー映画「レニ」(Die Macht der Bilder: Leni Riefenstahl, directed by Ray Müller, 1993)と比較してみると興味深いと思います。